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2007 07,08 20:39 |
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こんばんは、八重です。
あの時、本当にビックリしました。 嘘でしょう? そう思いました。 まさかと思って、目をこらしました。 Woody BELL'Zの応援席の最上段に、北見監督がいました。 北見監督のいない朝。 私たちは、一種異様な中で春日のホテルをあとにしました。 みんなも一体このあとどうなるのか、不安に苛まれながら昨晩一夜を過ごしたそうです。 でも私たちにできることは1つだけです。 とにかく勝つこと。 勝って北見監督を辞めさせないこと。 私たちはそのために闘うんだ、そうみんなで決意しました。 まずは開始早々、Woody BELL'Zがいい場面を見せました。 右サイドから光ちゃんがオーバーラップしていた美夏にスルーパスを放り込みます。 美夏は俊足を飛ばして右サイドを突破していき、クロスを上げます。 そこに草薙さんが飛び込んで、豪快なヘディングシュートをゴール右隅に叩き込みました。 みんなもう嬉しそうに、誰彼構わず喜びをぶつけています。 草薙さんも初戦でいいところがなかっただけに、ポーカーフェイスなところのある彼女の表情にも微笑みが見えました。 その後美夏がイエローを貰うといったことはありましたが、相手のシュートも上手く捌くことが出来ましたし、意外にいい調子だな、なんて思っていました。 とりあえず1-0で前半を終え、みんなも久しぶりに笑顔でロッカールームに向かっていました。 しかし後半早々、今度はスプリングサンズの攻撃陣が一瞬の隙を突いて襲いかかってきました。 中央突破を仕掛けてきた相手から早いパスワークで同点に追いつかれてしまいました。 ゴールに入れられたボールを持ってセンターサークルに蹴り飛ばそうとしてスタンドを見て… まさかと思いました。 北見監督が、このマグパイパークにいたんですから。 私はみんなを集めて、一言こう言いました。 「今このマグパイのゲームを北見監督が見ている。決して恥ずかしくないゲームをして、そして勝とう!」 私がそう言うと、みんなもビックリした表情で、でも次の瞬間みんなの表情が引き締まったのを感じました。 そして後半21分。 中央付近からの20mのフリーキック。涼ちゃんの腕の見せ所です。 涼ちゃんはゴールを見ようとして、 一瞬ビックリした表情になりました。 恐らく、北見監督が来たのに気がついたのでしょう。 涼ちゃんの後ろ姿が凛となったのを私は感じました。 そしてフリーキック。 涼ちゃんのシュートはGKに弾き飛ばされました。 しかし、その弾き飛ばされたボールに猛然と突っ込んでいく人がいました。 その選手は迷うこともなく猛然とダイレクトシュートを放ちました。 そして… ボールがゴール右隅に飛び込んでいきました。 迷えるエース・綾崎若菜さんが復活しました。 同じようにROOMMATESからWoody BELL'Zに移籍してきた涼ちゃんと、本当に嬉しそうに抱き合いました。 そしてゴールに向かって胸を張ります。 気持ちが分かりました。 北見監督に、自分達の成長した姿を見て欲しかったんだと思います。 そしてその6分後には望ちゃんのクロスから草薙さんが頭で今度はゴール左隅に決め、ダメ押し点ともいえる3点目をもぎ取りました。 そしてゲームは3-1のまま、試合終了のホイッスルが鳴りました。 途端にスタンドから多数のペットボトルが投げ入れられました。 そしてスタンド中から罵声を浴びせられました。 私たちはその中をロッカールームに向かったのですが… 何となく寂しかったです。 Woody BELL'Zでもブーイングとかはありました。 でもゲームの最後は、決してブーイングを飛ばさず、とりあえず健闘を讃えよう、そう申し合わせているみたいです。 今までそれが当たり前の環境にいたから、今日のはある意味新鮮でした。 そして… そういった「大人」のサポーターにあぐらをかいていたのではないか、そう感じました。 ロッカールームに戻ると、北見監督と裏輪女子高校のメンバーが待っていました。 「おめでとうございます。今日は本当に勝ちたいって気持ちがみんなから溢れ出ていた感じでした」 苺ちゃんがそう言って褒めてくれました。 みんなも口々に祝福の言葉を私たちにくれました。 …でも私たちには、本当に待っているものがありました。 そう、北見監督からの褒め言葉です。 「みんな、本当に迷惑をかけて申し訳なかった。そして本当におめでとう」 北見監督がそう言いました。 「今日のゲーム、俺は本当にどうなるか、そのことを考えていた。もしかしたらWoody BELL'Zのがボロボロになるかな、そう危惧もしていた。でもみんなはそんなチームをしっかりとまとめて、そして勝てるチームを作り上げていたと思う」 北見監督に言われて、みんな嬉しそうです。 でも… 次の瞬間、私たちは信じられない言葉を耳にしました。 「もうWoody BELL'Zには俺の存在は必要ではないと思う。今の君達はその段階に来たと思っている」 我が耳を疑いました。 私たちは北見監督に戻ってきて貰いたくて、一生懸命頑張りました。 でもその結果、北見監督は「自分の存在はもういらない」と断じてしまったのです。 「俺がこのチームを作る時に失敗したのは、チームをまとめる段階で、みんなが俺に依存してしまうようなチームを作ってしまった、それが一番大きな問題だった」 北見監督はそう静かに話し始めました。 「実際にこのチームは昨年度までは本当にいい意味でまとまっていたと思う。でも今年になって、何となくチームづくりの方向性が違うのではないか、そう思えるようになってきたんだ」 「方向性の違い?」 「そういうこと。結果として俺の言うことを素直に聞く、お利口さんチームを作ったわけだけど、その結果、様々なシチュエーションを想定しながらアクティブなプレーができる選手が少なくなったと思うんだ」 北見監督の言葉に、みんなは真剣に聞き入ります。 「だからこれからのチームは、自分達でゲームを作り、自分達の力で勝っていく、そんなチームを目指したいと思う。だからそのチームづくりにもっとも邪魔なヤツ、つまりは俺のことなんだけどさ、そいつを排除しちゃおう、というのが俺の考えなんだ」 「それじゃ監督、他のチームに?」 若菜さんが思いつめたような表情で北見監督にすがりつきます。まあ若菜さんはしっかりと監督に女を教わっていい思いをしましたからね… 「俺はWoody BELL'ZのCEOには残る。だから完全に君達とは縁を切るというわけではない。だからあくまでも監督業を引退する、という話だけだ」 「監督、それでは次の監督は誰にするんですか?」 確かにそれも重要な課題だった。でも北見監督はもうそれも決めているようでした。 「監督は、花桜梨、選手兼任で大変だけど頑張ってもらう」 北見監督から、直々に第2代監督に指名されました。 私も本当はいつまでも北見監督のモトで仕事がしたかったです。 でも北見監督がそう言い切る以上、もう誰もそれを変えることは出来ないはずです。 「分かりました。至らない点もたくさんあると思いますが、頑張ってチームをまとめていきます」 私はそういいました。 北見監督の表情に微笑みが現れたのを見逃しませんでした。 今日、北見監督が辞任なさいました。 でももう後は振り返りません。 私たちは北見監督が作り上げた礎をもとに、新しいWoody BELL'Zをみんなと一緒に作り上げていく、そう決意しました。 私たちはもう迷いません。「自分達の」Woody BELL'Zを作り上げていきます。 PR |
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