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2006 08,05 23:22 |
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こんばんは、八重 花桜梨です。
今日から指宿で合宿になります。 みんな嬉しそうな雰囲気で、羽田空港の第2ターミナルに集まっていた。 もちろん合宿ですから、トレーニングはきちんとしなければいけないのですが、結構みんな楽しみにしていました。 何と言っても同世代の女の子と一緒にわいわい騒ぐ、そんな雰囲気がいいのかもしれませんね。 すでにヒナとか優美ちゃんはスタンバっているようです。 今日は9時30分発の全日空機で鹿児島空港に向かい、そこからバスで指宿の海岸沿いのホテルに入ります。 そしてちょっとトレーニングをして、ということでした。 チェックインを済ませて飛行機の中に入ると、やはりみんな嬉しそうに窓の外を眺めます。 9時30分、全日空機は私たちを乗せて鹿児島へと向かいました。 鹿児島空港に着くと、早速バスに乗り込んで指宿に向かいます。 近くには高速道路もあり、鹿児島から指宿スカイラインで指宿に向かいます。 結構快適な旅で、ヒナとかほむら、優美ちゃんなんかもカラオケで盛り上がっています。 私も、なんだか心がうきうきしてきました。 でも合宿に来たんだよね、みんな。 その心がけはしっかりと持って欲しいな。 北見監督は代表合宿でも鬼コーチとして知られていたんだから。 そして指宿のちょっとした岬のようなところにあるホテルに着きました。 そして私たちは一種異様な歓迎板を目にします。 「横山様御一行様」 「北見様御一行様」 ちなみにWoody BELL'Z御一行様という表現でなかったのが気になるのと… 「横山様御一行様」って… 私たちの中でも、心当たりがある名前でした。 まさか… 「やっと着いたな。それじゃ、15時にフロントに集合、水着着用でな」 北見監督がそう言いました。 でも、水着着用? 一体何のために? 一瞬北見監督が何をしたいのか、その真意を測りかねていたその時… 「北見監督! お久しぶりです!」 私も最近聞いた声がフロントに響いてきました。 「あれ? 佐野倉さん? どうしたの?」 ヒナがきょとんとした表情で前の方を見つめました。 私もヒナの視線の先を見ると… 佐野倉さんがいました。 何で佐野倉さんがうちの合宿に? 私は訳の分からないままに、北見監督を見つめていました。 「俺の知らないうちに、ROOMMATESと合同練習をしようという話になったみたいだな」 北見監督は涼しい顔をして言いましたが… 何となく、嘘を感じました。 フロントの方では、どうやら 合同練習を企画していたようです。もちろん北見監督が知らないはずはありません。 「それじゃ『横山様御一行様』というのは?」 涼ちゃんが北見監督に聞きます。 「ああ。ROOMMATESのことなんだ。みんながどう反応するか、楽しみにしてたんだ」 …やっぱり。北見監督、このことを知っていて嘘をついてたんだ。 私が一番嫌いなことを… 私は頭に来て、北見監督に、 「北見監督の、嘘つき」 冷たく言い放ちました。 「あっ、花桜梨…」 「もう知らない!」 私はそう言って顔を背けました。 …もちろん「フリ」だけです。流石に尊敬する北見監督を嫌いにはなれません。 それに… 必死で私の御機嫌を取る北見監督も、なんだか可愛いですね。 思わず私も吹き出しながら、北見監督を許してあげていました。 15時。ROOMMATESとWoody BELL'Zの選手達がフロントに集まってきました。 ROOMMATESの選手達はWoody BELL'Zの選手を見て唖然としていましたが、さすがに一緒にトレーニングをしたことのある間柄、すぐに打ち解けあって和気あいあいとした雰囲気で監督が来るのを待ちました。 そして… 北見監督と横山監督が一緒にフロントに集まりました。 「さて… 今日は指宿に来たばかりだし、時間もそんなに多くないから、一緒に海で遊ぼうか」 北見監督がそう言うと、みんなの間から歓声があがりました。 まあみんなだって遊びたい年頃、たまにはみんなで遊びたいというのも心情でしょうか。 でも… 私は北見監督の言葉の裏にある笑顔に引っ掛かりました。 どうやら佐野倉さんも同じように感じたみたいです。私は佐野倉さんに 「このあと監督の言動には気をつけた方がいいね」 と耳打ちしました。 そう、あの神谷さんを騙して小波蹴球団の主人監督と陽ノ下さんに甘いひとときをプレゼントした、あの北見監督のやることですから。 最初にみんなで記念撮影をして、そのあと好みで撮影会をしました。 私も北見監督、そして佐野倉さんや涼ちゃん、そしてもちろんWoody BELL'Zのみんなと一緒に写真に治まりました。 そして思い思いにビーチの夏を楽しみます。 ビーチバレーをする者、海辺で水遊びをするもの、そして清川さんと後藤さん、安藤さんと西村さんが泳ぎで競争しています。 その中… ビーチパラソルで休んでいるものもいます。 驚くかもしれませんが、佐野倉さん、加藤さん、森井さん、桂木さん、波多野さん、ヒナ、恵美、涼ちゃん。 そして私もその1人でした。 そしてここで休んでいる人たちは、みんな競泳タイプのワンピースの水着で来ました。 みんなビックリしていたのですが、流行に敏感なあの朝日奈さんですら、です。 …気がつかれたかもしれませんが、いわゆる代表組です。 さすがにあの北見監督、なんだか考えているような気がしました。 おもむろに北見監督がみんなに声をかけて集合させました。 そして集めたみんなに一言。 「さて、それじゃトレーニングをやるか」 みんなが唖然とした表情になりました。 それはそうでしょう。今まで遊んでいいよと言われていたのに、急にトレーニングするよ、って。 でも、思い出して欲しいんだ。 確か宿舎に着いたちょっとトレーニングをするって。 代表組はその言葉で、「トレーニングは既定事項」とインプットされるので、突然「海で遊ぼうか」と言われても、「何かある」と勘ぐる習性がついてしまったの。 そんな免疫のない他のメンバーは、もうトレーニングはないと思ってしっかりと1時間半遊んでしまったのでした。 横山監督が木の枝で線を引いて、少し先に5枚のタオルを落としました。 「今日は軽く、1対1の競争をするか。GKは反対から、それ以外のポジションは同じ側からスタートして、あそこのタオルを取ったら勝ち。5本勝負をして負けた方がペナルティをやってもらう。なお先に手にした方からタオルを奪い取ったら、その回のペナルティは倍にするから覚悟するように」 北見監督の言葉のあと、私はパット、水無月さんと一緒に、北見監督にタオルのさらに先に連れていかれました。 私の相手は西村さんでした。 (西村さんか、気を引き締めないといけないな) 私はそう気を引き締めました。 「よーい、ドン!」 北見監督の声と同時に走り出しました。 私は足はそれほど速くありません。西村さんの方が速いと思いました。 しかし私は体力を温存し、西村さんは海で泳ぎ捲っていました。その体力差がここで表に出ました。 さらに私は水に浸かっていないので身体が軽いままなのですが、西村さんは身体に水がついているので、走っているうちに体中に砂がまとわりついて、動きが重くなっていくのが傍目にも分かります。 もちろん私がしっかりとタオルを奪いました。 隣では、ヒナが千葉さんに勝って嬉しそうに喜んでいます。 もちろんヒナも代表組、千葉さんは泳いでいた口ですが、千葉さんが恨めしそうに北見監督を見ています。 私も西村さんを見ているうちに気づいたのですが、結構ヒナは千葉さんを手で妨害していました。 本来ならまずいと思うんですけど、私はヒナのその行為を見て、何となくこのトレーニングの意図が分かりました。 ヒナは北見監督の意図をしっかり読み取っていたのです。だからとにかく自分が先にタオルを取るために何でもしたのです。 でも千葉さんはその意図が分からず、北見監督に抗議しようとしていました。 しかし… 千葉さんが抗議しようとする前に、北見監督に食って掛かっていった人がいました。 佐野倉さんです。 どうやら佐野倉さんも舞佳さんに妨害をされてタオルを取れなかったようです。 北見監督に、 「スタートで九段下さんに妨害されたんですけど、無効じゃないんですか?」 と言っているのが聞こえてきました。 ところが北見監督が恐らくとぼけた答えを言ったのでしょう。2人に近づく私に、 「だから、今回は無効じゃないんですか?」 と佐野倉さんが食い下がっている姿が映りました。 そして北見監督は、 「今回のレースは舞佳の勝ち。結果が全てだよ」 そう言い放ちました。 「どうして!」 佐野倉さんが頭に来たようです。北見監督に詰め寄りながら厳しい表情で問いつめます。 「佐野倉さん、待って」 そこに私が割って入り、佐野倉さんと北見監督を引き離しました。 「なんで私を止めるの? まさか北見監督を好きだから…」 佐野倉さんがそう言った次の瞬間、私は右手を容赦なく佐野倉さんの頬に叩き付けました。 パシン、と大きく、ある意味小気味のいい音が響きました。 私の目の前で、佐野倉さんが左の頬を手で押さえて、私を信じられないといった表情で見つめていました。 「恵壬、北見監督に向かって負けた言い訳をしてるんじゃないよ!」 私はそういって佐野倉さんを諭しました。 「負けた言い訳?」 「陸上じゃ確かに走路妨害かもしれない。だけど恵壬、今あなたがしているのは陸上なの?」 不意に佐野倉さんの目から涙が出てきました。恐らく自分のとった行動の愚かさに気がついたようです。 「今はサッカーをしてるの! ボールを取るためにあんな妨害をされるのは当たり前じゃないの! それでも強引にでもボールを奪って、ゴールにつなげるのがあなたの仕事じゃないの?」 私は佐野倉さんにそう諭しました。佐野倉さんも北見監督のトレーニングの意図に気がついて、 「絶対許せない。あと4本取ってみせる」 そう言ってスタートラインに下がっていきました。 千葉さんもその様子を見ていて、やはりこのトレーニングの意図に気がついて下がっていきました。 結果として、私は西村さんに全勝したので、西村さんが5本シャトルランをすることになりました。 さすがに代表組はみんな勝っていました。ヒナもあの千葉さんに3勝2敗と勝ち越しました。 やはり「トレーニング」がある時はそれなりの準備が必要、そう代表に選ばれなかった人たちはしっかり刻み付けたトレーニングだったと思います。 そして最後に北見監督から、合宿終了まで、6時から1時間砂浜でのトレーニングを義務付けることが通達された。その分夜の練習はなしにして、ミーティングか自由時間に充てる、と言われました。 朝のトレーニングはきついけど、夜練習がないのはちょっと有難いかな。 とにかく今日はフリータイムということで、みんないろんなところで遊んでいます。 私と佐野倉さんはちゃんと今夜のスケジュールを確認して、今日はミーティングがないことを確認しましたから、もう安心して遊んでいました。 まあ明日また朝早いのでこれくらいにします。 それではこの合宿の模様、楽しみにして下さいね。 PR |
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