おはようございます、北見です。
　これから温泉に行く予定なのですが、早めに起きてしまいましたのでカキコしています。
　…というより、花桜梨に起こされました。

　こう書くと、皆さんこう想像している人いませんか？

　一緒のベッドで裸のままの花桜梨が優しく声をかけてくれ…
　俺は起きると、まず花桜梨とキスをして、裸のままベッドを出ます…
　ベッドには、花桜梨が女になった跡がついていて…
　そして俺と花桜梨はお互い裸のまま、シャワーを浴びにいった…



　こんな展開だといいんですけどねw

　もちろん実態は全く違います。

　起きる時、とにかく頭が痛くて…
　ていうか、いつベッドまで辿り着いたの？
　そして起こした花桜梨の表情が怒りに満ちていて…

「監督ぅ…　おはようございます…」
　いつもは従順な花桜梨が、珍しくとげのある喋りをします。

「おはよう、花桜梨…」
　挨拶すると、まず花桜梨は嫌味を一発、
「監督って重たいんですね。ナツと茜ちゃんの助けを借りなければここに来れませんでしたよ」

　…そうだった。
　俺は昨日酒を飲み過ぎて、ダウンした、気がした。

「あとで、ナツと茜ちゃんにも謝って下さいよ」
「はい…」

「それと、第６節のオーダーですが…」
「発表してないけど、北見交通公社には届け…」


「ホームで応援に来てくれるサポーターの方たちを失望させる気ですか！」

　…気がつかなかった。
　そう言えばSharp&Crisp武蔵野戦はホームだったような…

「北見交通公社からオーダーの再考を求められましたので、私なりに考えて組みました」
　花桜梨はそう言って、北見交通公社の掲示板を俺に見せる。
「ヒナとレイさんは疲れがたまっているようですから、今回は休ませます。それ以外は不動ということで。いいですか、監督？」
　花桜梨はそう言って俺に迫ってくる。
　確かに掲示板には「花桜梨の責任で監督に承認をとらせる」とあるから、花桜梨も真剣なんだろうな…
「わかった。次はそのオーダーでいこう。じゃああのオーダーはイレブン・ウィナーズ戦か？」
「それならアウェーだし大丈夫だと思います」
　花桜梨はそう言ってやっと笑顔を見せた。
　…決して花桜梨も今回のオーダー自体はダメではなかったのだ。
　ただそれをサポーターの多いホームでやられるのに我慢は出来なかったんだろう。

　それと…
　花桜梨はそう言ってパソコンを捜査して、あるページを開いた。
「これはどういうことですか？」
　…そこにはSharp&Crisp武蔵野のスタッフブログがあった。
　そう、昨日のフォーメーション発表に首脳陣が怒りの表情になったあの記事だ。

「監督はこんなことを書いてたんですよ」
　花桜梨はそういってコメントをクリック。

　なんだよ、「うっでぃ〜べるずのおもわく」って…
　漢字も使ってないし、なんだよ、「あのしみ」って…

「『ただの酔っ払い』の北見監督のコメントですよ」
　花桜梨がそう言って呆れた表情になった。
　俺は顔が真っ青になった。
　こんな低能なカキコしてたんだ…

「あのあと私大変だったんだから」
　花桜梨が憤慨した表情で言います。
　確かに直後に花桜梨が謝るコメント、オーダーについての説明をするコメントが残っています。

　なので先ほど、Sharp&Crisp武蔵野のブログに謝罪のコメントを入れました。

「花桜梨、ホントにゴメンな」
　俺はそう言って花桜梨に頭を下げた。
　そう言えば昨日は花桜梨の誕生日だったのに、その花桜梨に迷惑をかけていた。

「いいんですよ。私はただSharp&Crisp武蔵野さんに変なトラブルを抱えて欲しくなかったですし、それにみんなでこれから温泉に入りに行こうという時に嫌な気分というのも嫌でしょう？」
　花桜梨はそういって微笑んだ。
　何だか今回は花桜梨に支えられた気がしました。
「ホントゴメンな」
　もう一度謝ると、花桜梨はもう気にしてないよ、と言わんばかりの満面の笑みで、
「私も昨日の夜のことは忘れます。さあ、今日から温泉旅行ですよ。一緒に楽しみましょう！」
　そう言って部屋を出ていきました。

　これから温泉旅行です。
　やっとスッキリした気分になりました。