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2006 12,24 23:45 |
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そういや、ここ数日、中の人がいろいろ忙しかったりダウンしてたりで、ここも最近書いていないよな。
まあ2日遅れだけど、とりあえず書いておくか。 一昨日のゲームは見ての通り。 最後の最後に油揚げを攫われた恰好になってしまった。 まあ、でも仕方がない。 勝負は時の運ともいう。決定的なチャンスをものに出来なかったし、それ以前に作れなかったのだから。 向こうを褒めるしかないと思う。 まあゲームが終わってからは、とにかく誰も座り込んでしまって、立ち上がろうとはしなかった。 いや、出来なかったというべきか。 まあ彼女たちにしてみれば、本当にもう少しでタイトルを獲得できたところを、ほんの一瞬の隙を突かれてしまった形だから。 俺はすぐさまピッチに飛び出していった。 まずは左ウイング、留美のところに赴く。 留美もまさかの事態に我を忘れているようだった。 「監督、一体私たちには何が残ったんでしょうか」 呆然といった表情をしながら、留美はそう聞いてきた。 「留美、確かに俺たちは『最強チーム』にはなれなかった。でもさ、一番厳しいリーグといわれた記念杯を制したんだ。短期決戦で勝つよりも、長いリーグ戦を勝ち抜いて得たものの方が大きいと思うよ」 俺は頭を軽くポンと叩きながら、留美にそう笑顔で答えた。 留美は軽く苦笑いしながらも、何とか自分に納得してくれたみたいで、 「分かりました。来年は記念杯を制したプライドと、今日負けた悔しさをもって頑張ります」 そういって立ち上がった。 次に若菜のところに赴く。 若菜は悔し涙を流していた。 「今日のゲーム、私には全くいいところがありませんでした。こんなエースなんていなかった方が良かったですよね」 若菜の気持ちも、何となく分かった気がした。 もともと若菜はROOMMATESを逃げ出した選手だった。そしてWoody BELL'Zでもある意味ボランチを失格にした選手だったのだ。 私は若菜の顎に指をかけ、若菜の顔を俺に向けさせた。 ビックリした表情で若菜は俺を見つめていた。 「若菜。そう自分を貶めることを言うなよ。少なくてもお前は記念杯第2ステージの得点女王なんだから、自信とプライドを持ちなよ」 「でも…」 「だからみんなも若菜を認めたんだし…」 俺はそう言うと、若菜の耳に口を近づけて、小声で、 「俺がお前を女にしたんだろ?」 若菜は顔を赤らめながらも、はっきりと首を縦に振りました。 「それでいいの。お前は紛れもなくうちのエースだったんだから」 俺がそう言うと、やっと若菜も笑みを浮かべて立ち上がった。 レイはもうピッチに下がったあとらしいので、次は涼子のところに向かう。 涼子のところにはすでにヒナがいるのだが、様子がおかしい。 どうやら涼子もヒナも、悔し涙を流しているようだ。 あのヒナも? と思ったのだが、意外にヒナもピュアなところがあるから。 俺は涼子とヒナの頭に手を乗せて、2人の顔を見比べた。 「どうしたんだ、ん?」 こともなげに2人に聞くと、2人とも嗚咽を混ぜながら、 「あたしたち、今日自分の仕事が出来なかったから…」 「折角優勝を信じてきてくれたサポーターのみんなに申し訳が立たなくて…」 結構殊勝なことを言っている気がしますが。 まあそれだけ自覚があると言うのはいいと思うんです。 「気にするな。まあ確かにサポーターたちにはいい思いはさせられなかったけど、だからといって今日のサポーターたちは、お前たちに厳しい表情を向けているか?」 俺がそう言ったのを受けて、2人はスタンドを見渡します。 サポーターたちは悔しそうな表情をにじませながらも、それでも健闘を称えた選手たちのために応援歌を歌っていました。 「涼子もヒナも、しっかり仕事をしている。それがたまたま今日は報われなかっただけ。まあ相手もあることだし、それは仕方がない。でも勝てなかったからといってサポーターは今までの努力を無視して負けたことを批判する人たちじゃない。だからこうやって暖かく応援してくれているんだと思うよ」 ヒナも涼子も同時に首を縦に振った感触が伝わってきた。 「今日は過ぎたことでしょうがない。だけどこの悔しさを、来シーズンにしっかりと結果として応えていこう。そうでないと、今度こそサポーターたちも黙っていないと思うよ」 もう一度首を縦に振る感触。 「それじゃ来シーズンのために、立ってみんなに報告をしよう」 「はい!」 ヒナも涼子も、やっと笑顔を見せた。 そろそろ大多数の選手が他の選手たちに慰められて立ち上がっているが、それでもまだ立てない選手が2人いた。 他でもない。PKを与えるきっかけを作った恵美と、PKを決められて失点を許してしまった花桜梨である。 まずは恵美のところに向かった。 「監督、ゴメンなさい。私、とんでもないことをしてしまいました…」 恵美は私の顔を見るなり、泣いてそう謝ってきた。 「監督の期待に応えて頑張ろうと思ったのに、あんなことで今までの努力をフイにしてしまいました…」 恵美の身体が小刻みに震えています。 俺は恵美の前に、恵美を包み込むように座りました。 そして恵美の伏せた顔を覗き込むように見ました。 「まあ、確かにあの時間帯、あの場所でファウルをすれば、ああいう結果になるだろうことは予想できたけどね」 恵美は俺のその発言に少なからぬショックを受けたように感じました。 「だけど、それがWoody BELL'Zなんだよね…」 恵美がビックリしたように俺の顔を見つめました。 「Woody BELL'Zって、そもそもDFファウルについては余り気にしないスタイルをとっていたんだ。1失点取られたって上等じゃない! それならそれ以上取ってやれ! それがうちの最初のスタイルだったんだ」 恵美が静に俺の話を聞いています。 「でもそうやって厳しいプレイを続けていくうちに、うちの強力なディフェンスが売りになっていったんだ。でも俺はDFのファウルは寛容であり続けた。どうしてか分かるか?」 恵美が弱々しく頭を振った。 「最終ラインを突破されてしまうのは、即得点につながりかねない危険性をもっている。だからこそ、多少の無理をしてでも止めてしまう場合だって仕方ない、それが俺の考え方なんだ。だからあの場合も仕方ないと思っている。だからあれは仕方がない」 恵美は俺の目を真剣に見つめてきました。 「今日はしょうがない。でも今度は絶対負けないぞ、その気持ちをもって、来シーズンに臨めるといいね」 俺がそう言うと、恵美は首を縦に振って、やっと立ち上がりました。 そして最後は、花桜梨です。 もはや抜け殻と化した感じになっていました。 まあそれも当然でしょう。あと数分無失点に抑えていれば、歓喜のうちに俺にバージンを捧げることになっていたわけですからw でもその気分も木っ端みじんにされてしまった感じでした。 「監督、私のせいです…」 俺が近づいてきたのを知ると、花桜梨はぼそっと呟きました。 「私が、あのPKを止めていれば… 全ては私の責任です…」 こいつは自分で何もかも背負い込むタイプだから、始末に悪い。 まあ、腐れ縁の間柄だから、こういう時の花桜梨の対処法は分かっている。 「お前のせい? それはこの前の代表戦のように3点も4点も取られてから言うセリフなの!」 俺は花桜梨の横に座って右手で花桜梨の肩を抱きながら、左手でデコピンをした。 「痛いッ!」 花桜梨が思わずデコピンされた額を右手で押さえる。 「今日のお前は少なくても向こうの藤沢以上によく頑張っていたよ。だって6本の枠内シュートを抑え切ったんだろ? 佐野倉との1対1だって身をもってゴールに入れさせなかったんだろ? それだけやってれば、文句を言われる筋合いはないよ」 「でも…」 「うちは1失点は計算済み。それ以上に向こうの守備陣が良くて、うちの攻撃陣が工夫がなさ過ぎた、それだけ。お前がそう落ち込むことはない」 「でも…」 「まだ言うか? 『記念杯』優勝チームのキャプテンが!」 花桜梨がビックリした表情になります。 「しょうがねぇじゃん。片や厳しいリーグを制して勝ち上がってきたチーム、片や試合数が少ないのを利用して勝ち上がってきたチーム。どちらが上なのかは、戦う前から分かっていたと思うんだ」 「……」 「でもたまたまケリをつけなくちゃいけなくて、そうしたら向こうが勝っちゃった、まあそれだけだ」 「……」 「まあそういうわけで、余り気にするな。そして優勝チームのキャプテン、棟を張ってルーテシアのみんなに今季の報告をしようぜ!」 やっと花桜梨の表情に力が戻って来た感じでした。 みんなが一旦ピッチに下がるまで、ルーテシアのみんなはしっかりと応援歌を歌い続けていた。 PR |
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