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2006 07,31 23:53 |
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こんばんは、八重 花桜梨です。
それにしても… 良かった、あの2人が結ばれて。 結構気にしてたんだ、あの話を聞いてから。 もう本当に可哀想なくらい一生懸命頑張って。 でもそれだけでこの欧州遠征が終わっちゃったら可哀想じゃない。 だから最後の夜くらい、想い出を作らせてあげよう、って、北見コーチと話し合ってたんです。 それでは、その後のお話をしますね。 パーティーが終わったあと、呼び掛け通り北見コーチの部屋に何人かが集まってきた。
予想通りというか、Woody BELL'ZとROOMMATESのメンバーは全員来た。 早速自己紹介もそこそこに、いろんな話をして楽しむことにした。 今日はもちろん私は北見コーチの隣にいるけど、その反対側の隣にはヒナが座っていた。 …というより、ヒナが座ったすぐ隣に、北見コーチが座ったのだ。 みんなあれっ、という表情をしたのだが、じきにその理由が分かってきた。 ヒナは今日出番がなかったので着替えてミニスカートでパーティーに参加していた。 そしてそのまま合流したのだが、みんなで床に座ってお喋り会が始まったので… 実は… パンツがはっきりと見えてしまっているんです。 しかもたちが悪いことに、ヒナはその状況に全く気づいていない様子。 さすがに監督も気が引けて、直接ヒナのパンツが見えない場所に移動した、ということのようだった。 そのことが、まさかあのようなことにつながるとは… 話が弾むうちに、ちょっとした違和感を感じはじめていた。 最初はそれが何だか、分からなかった。しかししばらく経つと、隣でその違和感の正体が浮き彫りにされていた。 「ヒナ、大丈夫か?」 北見コーチがヒナに話しかけている。 「…」 「ヒナ、大丈夫か!」 「…ちょっと、 …気持ち悪い…」 「そっか、それじゃ、少し離れるか?」 北見コーチがそういうと、ヒナは何とか立ち上がって、入口のところまで歩いた。 ところが、その最中になんか異変を感じたのだろう。 突然ヒナが口を押さえてトイレに駆け込んだ。 慌てて北見コーチが着いていく。私も慌ててトイレに向かった。 トイレの扉を開けてみると、ヒナが便器に顔を突っ込んで、口から戻しているようであった。 酸っぱい匂いが何となく漂っている感じがした。 北見コーチはヒナの背中を優しくさすっている。 時折ヒナは胃の中のものを吐き出しているようだった。その度に、大きく背中が動くのが分かる。 何となく… 何となくヒナが泣いているように見えた。 どうやら胃の中のものが全部出たらしく、ヒナがやっと便器を放してバスの壁を背もたれにして座り込んだ。 体育座りをしているので、パンツが丸見えなのは相変わらず。 北見コーチは私に、水を持ってくるように指示した。 私が水を持ってくると、北見コーチは水をコップにあけ、それをヒナの口に含ませた。 そしてヒナに、飲まずに口を濯ぐように指示した。 ヒナはその指示通りに口を濯いで便器に吐いた。 それを何回か繰り替えしているうちに、ヒナも何とか落ち着いてきたみたいで、北見コーチや私に向かって珍しく悄然とした声で、 「コーチ、やえっち、軽蔑したでしょ? あたしのこと…」 そう呟いた。 「そんなことないよ!」 私はもちろん否定した。 「ヒナ、お前、酒飲むのは初めてなの?」 コーチが聞くと、ヒナは苦笑いしながら、 「ううん、何度かある。でもだいたい男の子と遊んでいる時に飲むし、そういう時って男の子に隙を見せたくないから、結構セーブしてるんだ。あそこまで飲んだのは初めて。サイダー、すっごく甘くて飲みやすくて、気がついたら結構な分量飲んでたんだ…」 そういって監督を見つめていた。 「じゃあしょうがないじゃん。お前が何度も深酒飲んでこのザマなら軽蔑するけど、限度知らなくてつい超えちゃったんだろ、仕方ないよ」 コーチはそういうと、ヒナの頭を撫でて、 「とにかく無理はするな。何とか気分が落ち着いたら部屋に戻ってきな」 そう言って立ち上がりました。 次の瞬間、コーチは私の方を振り向くと、 「花桜梨、とりあえずヒナのところにいて見ててくれないか」 そう言って慌ててバスルームを出ていきました。 「? 監督、どうしたんだろ? 急に外に出て…」 ヒナは何だか不思議な表情になっていました。 「ヒナ、パンツ丸見えだよ」 私がそう指摘すると、ヒナは自分の股間のあたりを見つめてから、 「…やっば〜、パンツ丸見えだったんだ… 監督、見てたのかな?」 本当に今気づいたかのように呟いていました。 「多分見てたと思うよ」 私がそう言うと、ヒナは、 「そっか… あたしの恥ずかしいとこ、また見られちゃったんだ…」 まるで他人事のように呟いています。 「なんか、監督といると、妙に無防備になっちゃうな、あたし」 ヒナが何となく不思議なことを言うので、 「監督も男なのに?」 そう聞いた。 「うん、監督、いつも優しく守ってくれるから、何だかあたし、監督が異性だって意識しないんだよね。血のつながっていない兄貴、って感じで」 「そっか…」 「あたしだけじゃなく、そう思っている子も結構いるんじゃないかな?」 何となく私もそう思いました。 「それじゃ戻ろうか」 ヒナの調子が戻ってきたようなので2人でバスルームを出ると… 桂木さんが監督に抱きついて泣いていました。 「何で、何で私を代表に呼んだのよ!」 桂木さんが、彼女にしては珍しく悔しそうな表情でコーチを詰っていました。 コーチは何も言わずに、ただ桂木さんを見つめていました。 涼ちゃんに話を聞くと、こういうことのようでした。 今回欧州遠征で26人の選手が選ばれていた。 そのうち、欧州に来てからスタメンに名前が入っていなかった美咲さんと森下さんがスタメンに選ばれて26人全員がスターターに名前を連ねた、そう思われていた。 しかし実はたった1人、スターターに名前がなかった選手がいたのだった。 それが他ならぬ桂木さんだったのだ。 しかも、欧州に来てからの出番は、初戦のバルセロナ戦に途中出場で出た47分だけ、あとはずっとベンチにいたままであった。 パーティーの時には何とか笑顔を取り繕ったものの、ここに来てもはや抑えがきかなくなってしまったのだ。 コーチもその当事者の1人である。だから桂木さんに声をかけられなかったのだ。 誰もが悄然とした表情で2人を見つめていた。 北見監督がおもむろに桂木さんの両肩に手をおいた。 「ほんとゴメン。俺も綾音がヨーロッパに来てからスターターに入ってなかったとは気づかなかった」 もはやそれ以外の理由はなかった。 「次に代表を組む時、今度は俺がお前を呼ぶ。だから…」 「だから?」 「だから… 俺が代表に呼ぶまで、もっと強くなって欲しい。誰もが、俺が綾音をスターターに選んだ時に納得できるように」 「信じていいの?」 「信じてくれ、約束は守る」 桂木さんはしばらく考え込んだ。 「分かりました。北見監督の言葉を信じます」 桂木さんはそう言ってやッと笑顔を見せた。 そのあともかなり遅い時間までみんなで様々なことを語り合った。 そして話題がつきた頃、みんな一斉にまどろみはじめた。 私は北見コーチと寝てしまったみんなに布団をかけてから、 「また戦いが始まりますね」 そうコーチに言った。 「そうだな、また戦いが始まる。Bucchiiさんとも、薫さんとも、主人君とも…」 「そして、ヨーロッパで一緒に戦った戦友たちと…」 「そうだな…」 しばらく静寂があたりを包みます。 「今頃、主人さんと光ちゃんはどうしてるかな?」 「ま、精一杯最後のヨーロッパの夜を楽しんで、今はぐっすり寝てるんじゃないかな?」 「私たちもあんな関係になれrかな?」 「これからの俺たちの心がけ次第かな。でも… なれるといいな」 「うん!」 ロンドンの、ヨーロッパ遠征の最後の朝が明けてきました。 PR |
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