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2007 05,02 02:02 |
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こんばんは、安達です。
今私は安田記念病院の藤崎さんのベッドの傍にいます。 とりあえず虹野さんと交代で藤崎さんを見ていきましょう、ということになって、で今は私が藤崎さんの傍にいます。 藤崎さんはあの後、安田記念病院に搬送されてからチームドクターでもある北見柊一氏の執刀を受けて切れた靱帯の修復手術を行いました。
できるだけ綺麗になるように、というリクエストは北見先生も何とかして下さるよう最大限努力したと思いますけど、さすがに結婚前の女の子の身体にメスを入れることは可哀想でなりませんでした。 藤崎さんは全身麻酔が解けるまで、しばらく眠り続けているということでした。 病室には次々と見舞いの品が送られてきました。 春日スプリングサンズのジュニアチームが千羽鶴を、Sharp&Crisp武蔵野のジュニアチームからも励ましの手紙を送って下さいました。そして響野体育倶楽部からも激励の絵をいただきました。 こうやってみると、TMリーグのライバルチームからもこれだけ暖かく励まされている藤崎さんは幸せなんだな、なんて思ってしまいます。 もちろんこれだけではありません。 藤崎さんの留守電には、かなり多くの選手からメッセージが届けられているようでした。 北見監督からの計らいで、携帯に残されたメッセージは電話会社の方でCDに焼いて貰い、藤崎さんがそれを直接聴けるようにして下さいました。 Woody BELL'Zの選手スタッフからはもちろんですが、全チームの選手からメッセージをよこして下さいました。 ビックリしたのは、あのTLSの安藤さんからもメッセージをいただいたこと。 安藤さんはWoody BELL'Zを恨んでいたはずでしたから、まさかあそこまで素直にメッセージをしてくれるなんて思いませんでした。 もちろんFCはばたきの八重さんからもメッセージは入っていまして。 怪我をさせて申し訳ない、とにかく早く回復してくれることを祈ります、そんな内容でしたけど、あまり言葉の多くない八重さんだけに、精一杯の誠意を見せて下さったのかも知れませんね。 そして… 12時過ぎ、藤崎さんが目を覚ましました。 「私、今どこにいるのかな?」 藤崎さんの第一声はこれでした。 私が今安田記念病院にいることを伝えると、 「そっか… そういえば足をかけられて、足が動かない、って泣きわめいていたのは覚えています」 そうちょっと沈んだ声が返ってきました。 私が藤崎さんの靱帯を手術でつなげたこと、手術は成功し、全治6ヶ月といわれていたけど、記念杯第2ステージからの出場には間に合いそう、そんな話をしました。 「そっか…」 藤崎さんはため息をついてから、やはり沈んだ声でそう言いました。 「そう言えば、いろんなものがあるけど、一体どうしたの?」 藤崎さんが病室を見回して聞きました。 「うん、いろんなところから来たんだよ。しかもライバルチームからも来ているんだ」 「そうなんだ…」 藤崎さんが嬉しそうな表情になります。 「もうちょっと身体が回復したら、皆さんにお礼を言わなくちゃ、ネ」 藤崎さんは律儀にもそう言いました。 「…ところで…」 藤崎さんはしばらく天井を見つめたあと、不意に話を切り出しました。 「なんですか?」 「ゲームは、結局どうなった、のかな?」 私は一瞬、どう答えていいか迷いました。 普通なら事実を言えばいい訳ですけど、藤崎さんは意外に責任感が強いから、「私のせいで負けたんだ」なんて言い出しかねません。 …でも正直にありのままを話すしかありません。 「0-1で負けました。延長後半にゴールデンゴールを決められて…」 藤崎さんの目がその瞬間、宙を彷徨ったように感じました。 「でも、延長前半まではとにかくがむしゃらに勝とうと頑張っていました」 「延長前半までは?」 藤崎さんは、私の失言を見逃しませんでした。 「延長後半は、勝とうという気持ちを持たなかったの?」 「えっ!?」 「なぜ勝とうという気持ちを持てなかったの?」 調子こそ穏やかでしたけど、藤崎さんの言葉にはとげがありました。 「北見監督が延長前半にみんなに言ったそうです。藤崎さんが記念杯第1ステージまで絶望な大怪我になりそうだ、と」 「それで、みんな気落ちしちゃったの?」 「分かりません。でも虹野さんの話だと、選手達の気持ちがそこで切れてしまったようだと言っていました」 藤崎さんは黙り込んでしまいました。 しばらく病室の中が静まり返りました。 しばらく自分の喋る言葉を考えていたらしき藤崎さんが、やっと言葉を発しました。 「敢えて批判を承知の上でお話しするわ。そしてこの件で北見監督から嫌われたって構わない」 藤崎さんの目に光が宿りました。 「北見監督はあの場でそんな話をするべきではなかった…」 藤崎さんははっきりとそう言いました。 そして… 「このままだと、Woody BELL'Zは昨年の記念杯第2ステージの春日スプリングサンズと同じ運命を辿ると思う…」 昨年の春日スプリングサンズ? もしかして! 「そう、今のままでは全く勝てないチームになってしまうと思う。北見監督になったことが、かえって逆効果になりかねないと思う…」 藤崎さんはそう言って私を見つめました。 「安達さん、お願いだから、今の私の言葉を、一言一句違わずに北見監督に伝えて欲しいの。反乱と言われて北見監督に嫌われてもいいの。そうされても、私はWoody BELL'Zが好きだから。強いWoody BELL'Zが好きだから。そのためなら、私は捨て石にもなるわ」 藤崎さんの言葉には力があったように思いました。 「分かりました。そのまま北見監督に伝えます」 私はそう約束しました。 「それじゃもうお休み下さい」 「さっきまでぐっすり眠っていたのにね、フフフ」 最期には藤崎さんも笑顔を見せて、そのまま目を閉じました。 私は病室を出ると、公衆電話から北見監督に電話をかけました。 PR |
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